タイトルセブンにおいては、キリスト教やイスラム教のように確立された宗教のみが対象になるのではありません。組織の大小に関わらず、真摯な信仰(sincerely held belief)であれば保護対象になります。 またタイトルセブンは信仰そのものに加えて宗教上の慣習をも保護しますが、その慣習は必ずしも「日曜日に教会の礼拝に出席する」といった一般的なものに限りません。例えば自宅でTV church (テレビで放映される礼拝番組)を見るといった行為をも含んでいます。
さらに注意すべき点は、いわゆる「無神論」の考え方も宗教と同等に扱われることです。例えば無神論者の従業員が、ある宗教を信仰する上司により「あなたも罪を悔い改めて、神を信じなさい」と執拗に勧められ、拒否すれば解雇になると脅かされたためにハラスメントを訴えたケースもあります。
人事担当者は採用面接で宗教に関連した質問をするべきではありません。「教会に行っていますか?」といった質問がタブーになるのはもちろんですが、そこまであからさまに宗教そのものについての質問をしなくても違法とされることはあります。例えば、離婚や再婚に関する質問をした場合、応募者の答えが人事担当者側の宗教的価値観に合わないために不採用という結果になれば、差別として訴えられる可能性があります(ちなみに、婚姻状態に関する質問は宗教と切り離しても禁じられています。「結婚していますか?」「子供はいますか?」といった質問はすべきではありません。面接で許されない質問に関しては後のコラムに譲ります)。
また最近はヨガや瞑想など、ニュー・エイジ的な要素を取り入れた社員教育を行う職場もありますが、そういったものへの参加が従業員の信仰に反する場合も予想されるため配慮が必要となります。差別のクレームを未然に防ぐという観点からみれば、そういった教育は最初から行わないのが賢明でしょうが、もし実行するのであれば、少なくとも全員参加を課すのは避けるべきです。
次回のコラムでは、宗教を理由とした差別をめぐる訴訟で焦点になりがちな “reasonable accommodation” という概念(類似の概念は宗教以外の雇用差別においても導入される場合があります)を軸として、職場における信仰の取り扱い方をさらに具体的に説明します。


